ソニー、ライフサイエンス分野への挑戦。フローサイトメーター事業

掲載開始日:2013-05-27 00:00:00.0

ソニー、ライフサイエンス分野への挑戦 iPS細胞など最先端のバイオ研究を支える フローサイトメトリーにイノベーションを起こす新技術

ソニー株式会社

iPS細胞など熱気が高まる再生医療をはじめ、急速に進化し市場が拡大しているバイオやヘルスケアなどライフサイエンス分野。世界中からさまざまな企業が参入し、技術革新をリードしています。なかでも、中長期の重点施策としてメディカルやライフサイエンス事業を位置付けるソニーの取り組みが注目を集めています。今回は、ソニーのライフサイエンス事業のなかでも、コンシューマエレクトロニクスで培ったハイテク技術をベースにした製品が非常に好評を得ているフローサイトメーターについて、同社メディカル事業ユニット ライフサイエンス事業部門 企画課 鈴木 俊輔 統括課長に話を聞きました。

総合カタログ最新版プレゼント

今回紹介する技術と製品

セルソーターSH800&セルアナライザーSP6800

セルソーターSH800は、測定の全自動セットアップ、小型化、低価格化を実現した“パーソナル” セルソーターです。
セルアナライザは、広波長の蛍光スペクトルを分光・検出し、これまで不可能だった詳細なマルチカラー実験ができ、新規で高精度の解析手法を実現できます。

詳細はソニー株式会社フローサイトメトリー専用サイトからご覧ください。

最先端の細胞研究に不可欠なフローサイトメーター。ソニーが新規参入した理由とは?

メディカル事業ユニット ライフサイエンス事業部門 バイオサイエンス事業室 企画課 鈴木 俊輔 統括課長

メディカル事業ユニット
ライフサイエンス事業部門 企画課
鈴木 俊輔 統括課長

Q.なぜソニーがフローサイトメーターに取り組むようになったのですか?製品開発から市場参入までの経緯を教えて下さい。

京都大学・山中伸弥先生のノーベル賞受賞をはじめ、再生医療はいま世界で最も注目を集めている熱い分野です。フローサイトメーターはその研究を支える重要な装置で、試薬を合わせて、世界で1500億円以上の市場と言われています。再生医療研究以外にも免疫学や血液学、様々な細胞研究などのバイオサイエンスの研究で非常によく利用され、研究者にとって、先端細胞研究を進める上でなくてはならない分析装置のひとつです。

ソニーは長年、ブルーレイディスク(BD)などの光ディスクの研究開発を行っていましたが、社内でこの光ディスクのレーザ光学技術をコンシューマエレクトロニクス製品以外に応用できないかと新たな展開を模索するなかで、光ディスクのレーザ読み取り技術の原理がフローサイトメーターに似ていることを発見したのが製品開発を始めるきっかけとなりました。

たとえば、光ディスクは高速で回転するディスクに対してレーザ光を照射して、その反射光を検出して音声や画像データなどの大きさ数ミクロン程度の凸凹情報を検出しますが、フローサイトメーターでも大きさ数ミクロンの細胞を高速で流し、そこにレーザ光を当てて細胞の大きさや形状などを分析します。検出対象の大きさやスピードなど2つのレーザ検出技術やデバイスはとても似ていることから製品開発を進め、2010年にこのフローサイトメーター市場に参入しました。

コンシューマ向けで培った高度なユーザーインターフェース技術を転用。
操作性、小型化など技術革新を起こす

光ディスク技術をライフサイエンス分野に応用

光ディスク技術をライフサイエンス分野に応用

微細加工技術を応用したソーティングチップ

微細加工技術を応用したソーティングチップ

Q.コンシューマエレクトロニクスからライフサイエンス分野へと異業種への参入となります。業種の違いによる難しさなどありませんか?

コンシューマ向けは身近にいる一般消費者が欲しいと思うものを作るのが大事ですが、フローサイトメーターは、限られた専門家が使う装置で、これまでの製品づくりのプロセスとはまったく違っていました。専門家の意見を取り入れるため、国内外の大学と協業して製品開発を進め、実際の製品も非常に高く評価いただいています。

また、いまあるフローサイトメーターは、フローサイトメーターの専門家向けに専門性や操作性を重視した設計が多く、専門家以外のユーザーは、非常に使いにくい製品のように感じていました。
そこで、ソニーのフローサイトメーターでは、コンシューマーエレクトロニクスで培った高度なユーザーインターフェース技術に持ち込み、これまでの専門家以外の多くの研究者や大学生が使いやすいような使い勝手の良さをハードウエアやソフトウエアに組み込みました。
また、研究者が日々使う喜び・感動を持ってもらえるよう、ソニーのデザインコンセプトに合わせてイチから装置の外装デザインやソフトウエアのグラフィカルインターフェイス(GUI)検討しました。また、こうしたデザインによる操作性の向上に加えて、研究室やラボにあって格好良い、長い時間一緒にいて、こだわりや愛着を感じてもらえるような洗練されたデザインをめざしました。

これまでのフローサイトメーターは「操作が難しい」「価格が高い」「サイズが大きい」というのが常識でした。ソニーが参入することで、コンシューマエレクトロニクスで鍛えたGUIやデザイン、小型化の技術などを活かし、難しいを“簡単”に、大きいを“小さく”、高いを“安く”し、研究者の方々の研究がスムーズに進むよう、より良い研究環境構築のサポートをしていきたいと思っています。

研究者に1人1台を実現する低価格なパーソナルセルソーター「SH800」 。
設定や調整いらずの全自動

1/3の小型化を実現

1/3の小型化を実現

Q.製品は具体的にどんなものがあるのですか?

細胞を解析するセルアナライザーと、細胞を解析した後、目的の細胞を分取できるセルソーターをラインナップしています。

セルソーターの新製品SH800は簡単でコンパクト。しかも低価格な“パーソナル”なセルソーターをコンセプトに製品化しました。
セルソーターは細胞を解析し、さらにその解析結果から目的の細胞を分取できる装置で、通常は操作が非常に難しく、価格も6000万円以上する専門性が高く、非常に高価な装置です。また、装置のセットアップをするだけで、専門家の調整に1時間近くもかかり、多くは専門のオペレーターがセットアップから操作まで管理して使用していることがほとんどです。そのため、セルソーターを利用したい研究者は、大学の共同施設などに設置された装置を事前に予約して長時間順番を待つしかありませんでした。
一方、ソニーのSH800はそれに対し、操作性が非常によく、装置も小さく、価格も廉価にすることで「各研究室がセルソーターを自分の研究室に持てるように」と考えた製品です。装置の難しい設定や調整は全自動。研究者が自分で操作して解析でき、大きさは従来製品と比較して1/3に小型化。価格も2000万円台と低価格を実現しています。各研究室で1台持てるようになれば、好きな時に自分たちだけで思う存分に測定ができ、研究効率も上がります。SH800は、そうした使い方や研究室に最適な、まさに次世代のパーソナルソーターです。

これまでできなかった詳細な細胞分析が可能に!スペクトル型セルアナライザー「SP6800」

より詳細な細胞分析を実現

より詳細な細胞分析を実現

SP6800の構造

SP6800の構造

SP6800は、従来のフィルター方式ではできなかったような細胞分析が可能になる世界初のスペクトル型のセルアナライザーです。
フィルター型は特定の領域で帯域を区切って取り出しますが、これだと複数の蛍光波長が混ざりこんでしまう、近接の蛍光だと区別が難しいなどの限界がありました。SP6800はプリズムで蛍光スペクトル全体を取り出すことができるので、近接蛍光やいままで使ったことのないような蛍光色素にも対応できます。また、蛍光色素で染色していない、細胞自体が事前に発光する微弱な蛍光情報を検出ができるため、より自然の細胞状態に近い状態で解析することが可能になります。このように、SP6800は従来機器で不可能だった測定・検出ができるようになり、新しい発見や論文の作成に役立つと高く評価いただいています。


Q.これからに向けての意気込みなど

ソニーのフローサイトメーターは、基本的な分析機能や性能はもちろんのこと、デザインやGUI、小型化、低価格化などコンシューマエレクトロニクスで培った技術やノウハウが、製品の差異化の大きな強みです。ソニーとして中長期の成長をめざすメディカル事業におきまして、引き続きソニーらしい商品を打ち出していきたいと思います。世界中で医療の研究が世界中で進むなか、研究者の研究効率を上げ、医療技術の発展にこれからも貢献していきたいと考えています。

※注) SH800、SP6800は研究用機器です。診断および治療にはご利用いただけません。

この記事で紹介した製品の詳細はソニー株式会社 フローサイトメトリー専用サイトからご覧ください。


  • FOOMA JAPAN_2018_JA

最近チェックした情報

クリップ

気になる製品・カタログ・企業などがあったらクリップに保存しておくと便利です。