バイオハザードから守る!安全キャビネット一体型セルソーター
掲載開始日:2014-03-18 00:00:00.0
1974年にベクトン・ディッキンソンが世界で初めてフローサイトメーター(FCM)を商品化してから40年、いまやFCMは細胞研究を支える重要な手法になっています。
感染症や病原体の研究、病気の診断などに有効な手段としてFCMを使った細胞研究が進むなかで、近年、それにともなうバイオハザードが懸念されはじめています。ベクトン・ディッキンソンは、それに先駆けてバイオハザード対策の安全キャビネット付セルソーター「 BD FACSAria™ Fusion セルソーター」を開発、上市しました。その詳細を聞きました。
今回紹介する技術と製品
安全キャビネット一体型セルソーター
「BD FACSAria™ Fusion セルソーター」
フローサイトメトリーでの生物学的な安全性は、研究者の生体サンプルの暴露事故が懸念されています。BD FACSAria™ Fusion セルソーターは、 BDとBaker社が力を合わせて、将来につながるバイオハザード対策として開発した安全キャビネット一体型のセルソーターです。
この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。
世界ではじめてFCMを商品化。2003年には世界初の自動化セルソーターも開発
BDバイオサイエンス
セルアナリシス-研究用機器
廣瀬 弥保
プロダクト マネージャー
2014年は、FCMが商品化されてちょうど40年の記念の年です。
1973年にスタンフォード大学の教授が研究用に開発したものを、1974年に当社が「FACS」のブランドで商品化したのがFCMのはじまりです。もともとは血液検査の分析をするために開発されたと言われています。
2003年には自動化セルソーターの第一号機となる「BD FACSAria™ セルソーター」を世界に先駆けて投入しました。当時、セルソーターは専門技術を持つ技官が操作する専用機械でしたが、複雑なセットアップをなくしたことで研究者レベルでも使えるようになりました。必要とする細胞を簡単に分取できるようになり、非常にヒットしました。
FCMを世界で最初に商品化し、定期的に画期的な製品を出していることもあり、当社の「FACS」という製品名は、論文でもそのまま使われるくらいに知名度が高く、FCMの代名詞にもなっています。
細胞研究が急速に進んでいる今、あらためてFCMに新しい付加価値を提供するために開発したのが、今回の「BD FACSAria™ Fusion セルソーター」です。
高まるバイオハザードの危険性。安全キャビネット一体型セルソーター
BDバイオサイエンス
田中 聡
ビジネスディベロップメント
マネージャー
FCMを使った研究が進むにしたがい、作業者のバイオハザードへの危険性も増しています。特にヒトの生体サンプルの利用が広がると、思わぬところから暴露して感染が広がる可能性も高まります。これまで作業者を生体サンプルの暴露から防ぐバイオセーフティはFCMではあまり気にされていませんでしたが、少しずつ変わってきているようです。例えば、すでにアメリカのNIH(National Institutes of Health、国立衛生研究所)では、ヒトの細胞を扱う時は安全キャビネットの中で取り扱うことを義務付けるなど、FCMにバイオセーフティ―が求められる時代が来ています。
「BD FACSAria™ Fusion セルソーター」は、キャビネットの世界的メーカーである米国Baker社と共同開発した、バイオセーフティ―キャビネットと一体化したセルソーターです。セルソーター全体をキャビネットで包み、内部の気流の方向と量、速度を制御して、内部をクリーンに保ち、研究者とサンプルの両方を守ることができるのが特長です。
装置と試薬開発の両方からFCMの技術進化をリード
キャビネット付/なしが選べる
当社は試薬も手がけ、弱いシグナルをいかに強く光らせるかといった蛍光色素の開発もしています。FCMの研究精度を上げようと思ったら、装置と試薬の両方からアプローチしていかないと技術は進んでいきません。その両方を持っているのも当社の強みです。
当社にとってFCMは非常に思い入れのある製品です。社内には1970年代にFCMの開発に携わった“生き字引”のようなメンバーも在籍し、日ごろから若い開発者にそのノウハウを伝授しています。また昔からのネットワークを活かして、実際に使っている利用者の声なども多く反映することができます。
装置はあくまで箱でしかありません。どんなに優れた機能を有した機械であっても使う人のニーズにあっていないと意味がありません。常に研究者と意見を交わし、ニーズを拾って装置に組み込んでいく。「BD FACSAria™ Fusion セルソーター」もそうして生まれた製品です。これからも引き続き、そんな地道な活動を行っていきたいと思っています。