同じ量の薬なら、成分量が多く濃い方が効くのは当然のこと。とは言え、濃度を高くして粘度が上がり、服用の仕方まで変わっては意味がありません。医薬品の開発では、いかに今までと変わらずに効果を高められるかがポイントです。
ジャパンコントロールス(東京都港区)が取り扱うケンブリッジビスコシティー社のVISCOlabは、水と同等レベルのサラサラで微小な粘度領域が測れるラボ用粘度計。ある大手製薬メーカーの抗体医薬品の研究部門が採用し、話題になっている製品です。その詳細を聞きました。
今回紹介する技術と製品
ラボ用粘度計 VISCOlab
ラボ用粘度計「VISCOlab(ビスコラボ)」は、水レベルの低粘度の薬液に対し、少量のサンプルで精度の高い測定が可能です。自動測定機能が付き、操作が簡単。製薬や化学、オイル、インク、塗料、コーティング剤など、あらゆる分野で使われています。
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製薬メーカーの抗体医薬品の研究グループが採用。薬液の濃度と粘度の管理に利用
小野田 昭美 社長
抗体医薬品は、抗体を治療に使う“次世代の医薬品”として研究が進んでいます。例えばがん治療の場合、通常の医薬品は正常な細胞にもダメージを与えますが、抗体医薬品はがん細胞だけに効き、副作用が少ないというメリットがあります。いま多くの製薬メーカーが研究に取り組み、とても盛り上がっている分野です。
抗体医薬品の投与は静脈注射で行われます。もし抗体医薬品に含まれる抗体の量を増やせれば、同じ量でも効果が上がり、注射の回数が少なくて済みます。でも、抗体の量を増やしすぎると粘度が上がって静脈注射では難しくなるかもしれません。このほど採用いただいた製薬メーカーは、そのギリギリの線まで抗体の量を増やすために粘度管理が必要だと考え、VISCOlabを選んだそうです。
サラサラの水レベルの粘度も高精度に測定。自動測定機能で誰でも使える
薬液を垂らすだけでOK
VISCOlabは、水レベルの低粘度の液体の粘度を少ないサンプル量で測れる粘度計です。ケンブリッジビスコシティー社の製品で、世界中で25年間8000台以上の販売実績があります。なかでもハイエンド機種の「VISCOlab 5000」は、わずか75μlのサンプル量で測ることができ、サンプル自体が高価な医薬品やバイオ研究等で多く採用されています。
自動測定機能が付いていて、誰が測っても同じ計測データを出すことができるのも特長です。低粘度になるほど数値のズレが与える影響力は大きくなります。同じように低粘度領域が測れる粘度計もありますが、ほとんどは習熟したオペレータが使うような製品ばかりです。VISCOlabのように誰でも使えるというようなものは他にはないと思います。
75μl~の少ないサンプル量でOK。実験回数を増やせる効果も
プロセス用の製品もラインナップ
実際に使っていただいている方からは「必要なサンプル量が少なくて済むから、以前と同じ量でも多くの実験ができて助かっている」という声もいただいています。特に抗体医薬品は1回分だけで数十万円もすると言われ、サンプルも非常に高額です。一滴たりとも無駄にできないなかで少ないサンプル量で測れるところが喜ばれています。
またケンブリッジビスコシティー社は、プロセスで使う粘度センサや粘度制御システムを持っています。研究開発から量産段階に移った時、VISCOlabと同じ技術で粘度を測定し、制御できるというメリットもあります。
医薬品に限らず、薬液は粘度を測って制御するだけで改善できる点が多々あります。サンプルを当社まで送っていただければサンプル測定いたします。実際に使ってみたいという方には貸出用のデモ機も用意しています。ぜひ一度試していただきたいと思っています。