「粉末酒」をご存知ですか?梅酒やウォッカ、清酒など様々なお酒をスプレードライ技術により粉末乾燥したもので、酒税法でも酒として認められている製品です。お酒から水分だけを取り除く特殊な製法により、アルコール分や風味に加え、肉類に添加すると肉質が柔らかくなるといったお酒の「効果」も維持。今回、独自のスプレードライ技術で「粉末酒」をはじめ、多彩なパウダー製品を製造・販売する佐藤食品工業に話を聞きました。
今回紹介する技術と製品
スプレードライ技術によるパウダー製品
佐藤食品では、粉末酒や食彩パウダー、茶エキス、天然調味料など多彩なパウダーを製造・販売しています。同社は独自のスプレードライ技術により、素材本来の「味・風味・色調」を再現した粉末化を実現。粉末化することで従来は添加が困難だった食品にも使用でき、加工食品や健康食品など幅広い商品の製造に活躍します。
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白醤油の粉末化からスタートした挑戦。
アルコールを残す独自のスプレードライ技術
取締役 生産管理本部長 兼 技術本部副本部長 兼 営業本部副本部長 鈴木宗行氏
当社は1954年設立の粉末食品(粉末加工食品)メーカーです。創業以来「天然食品の持つ“味・風味・色調”を損なうことなく粉末化すること」を目指し、今回ご紹介する粉末酒と茶エキスに加え、鰹・昆布・椎茸などの天然調味料などを、独自のスプレードライ技術を活用して製造・販売しております。
意外だと思われるかもしれませんが、当社のビジネスの原点は、白醤油の製造にあります。当社はもともと白醤油メーカーとしてスタートしましたが、転機となったのが1960年代に訪れたインスタント食品ブームです。
当社の白醤油は、一般的な製品に比べて旨みが強い点を特徴としており、これをインスタント食品向けに販売するために、粉末化しようとしたわけです。1964年には液体を瞬時に乾燥させ、粉末化するスプレードライヤーの1号機を設置しましたが、最初はどうしても風味が損なわれてしまい、当社が求めるような製品はでき上がりませんでした。
ブレイクスルーのきっかけとなったのが、風味が飛んでしまう理由を突き止めたことです。カギは「アルコール」でした。白醤油に含まれるわずかなアルコール分が、乾燥時に蒸発してしまうことが、風味が失われる理由だと判明したのです。そこで、水よりも沸点が低いアルコール分を残しつつ粉末化する技術の開発を進め、1966年にアルコールの粉末化に成功しました。
意外だと思われるかもしれませんが、当社のビジネスの原点は、白醤油の製造にあります。当社はもともと白醤油メーカーとしてスタートしましたが、転機となったのが1960年代に訪れたインスタント食品ブームです。
当社の白醤油は、一般的な製品に比べて旨みが強い点を特徴としており、これをインスタント食品向けに販売するために、粉末化しようとしたわけです。1964年には液体を瞬時に乾燥させ、粉末化するスプレードライヤーの1号機を設置しましたが、最初はどうしても風味が損なわれてしまい、当社が求めるような製品はでき上がりませんでした。
ブレイクスルーのきっかけとなったのが、風味が飛んでしまう理由を突き止めたことです。カギは「アルコール」でした。白醤油に含まれるわずかなアルコール分が、乾燥時に蒸発してしまうことが、風味が失われる理由だと判明したのです。そこで、水よりも沸点が低いアルコール分を残しつつ粉末化する技術の開発を進め、1966年にアルコールの粉末化に成功しました。
粉末化による物性改良でより分散しやすく。
微生物的にも安定し「使いやすい」材料に
主力商品である「茶エキス」
現在、当社の事業の大きな柱となっているのが「茶エキス」です。緑茶に代表にされるように、お茶は成分がデリケートなためエキス化は困難とされていましたが、白醤油で培った当社の独自技術により実現しました。
緑茶やほうじ茶、烏龍茶、ジャスミン茶など多彩なラインアップでカップベンダーや市販のインスタントティー向けに提供しているほか、ガムやキャンディー、アイスクリームなどのフレーバーとして添加されています。
また、もう1つ当社ならではの製品としてご紹介したいのが「粉末酒」です。お酒から水分だけを取り除く特殊技術により、香気成分とアルコールをそのまま残すことに成功しています。そのため、唐揚げ粉に添加すると揚げあがりが良くなったり、肉類に添加すると肉質が柔らかくなったりと、お酒の“効果”も維持していることが特長です。これまで、梅酒やウォッカ、清酒など7種類の粉末酒を商品化しており、酒税法でも正式に酒として承認されています。
粉末調味料の大きな利点は、物性改良により分散しやすくなるため“使いやすい”という点です。液体・固体の状態では添加が困難だった食品にも風味や効果など「付加価値」を加えられます。また、微生物的にも安定し、衛生面にも優れるため安心して使用できる、商品開発の可能性を大きく広げる材料だと言えるでしょう。
緑茶やほうじ茶、烏龍茶、ジャスミン茶など多彩なラインアップでカップベンダーや市販のインスタントティー向けに提供しているほか、ガムやキャンディー、アイスクリームなどのフレーバーとして添加されています。
また、もう1つ当社ならではの製品としてご紹介したいのが「粉末酒」です。お酒から水分だけを取り除く特殊技術により、香気成分とアルコールをそのまま残すことに成功しています。そのため、唐揚げ粉に添加すると揚げあがりが良くなったり、肉類に添加すると肉質が柔らかくなったりと、お酒の“効果”も維持していることが特長です。これまで、梅酒やウォッカ、清酒など7種類の粉末酒を商品化しており、酒税法でも正式に酒として承認されています。
粉末調味料の大きな利点は、物性改良により分散しやすくなるため“使いやすい”という点です。液体・固体の状態では添加が困難だった食品にも風味や効果など「付加価値」を加えられます。また、微生物的にも安定し、衛生面にも優れるため安心して使用できる、商品開発の可能性を大きく広げる材料だと言えるでしょう。
カレーライスの粉末化にもチャレンジ。
ものづくり集団として新しい製品開発に挑み続ける
「未利用資源」を活用し、生産者・消費者の双方にメリットを生み出す
当社の根底に流れるのは“ものづくり集団でありたい”という思いです。そのため様々な食品の粉末化に積極的に取り組んでいます。例えば、カレーライス。これは商品化には至りませんでしたが「ジャガイモやニンジンなど具材も含めて当社の技術で粉末化したらどうなるか」を検討する、非常に面白いチャレンジでした。粉末化には程遠いイメージの食品であっても、当社にとっては魅力的な研究対象です。
新素材のプロトタイプをお客様に見ていただく際は、お客様の商品に落とし込んだ状態で持ち込みます。お客様がラーメンメーカーであればラーメンのスープに仕立て、チョコレートメーカーであればチョコレートに練り込むといった具合です。そうすることで、より具体的な利用イメージを持っていただくことができ、お客様の意見から新たな気づきを得ることができます。お客様と一緒に製品・アプリケーション開発を進めるわけです。
また、当社の事業は「資源の有効活用」という側面も持ち合わせています。鰹節や昆布等の海産物は、ちょっとでもキズがつくと売り物にならず、廃棄処分されてしまいます。当社はこうした未利用資源を粉末化し、天然調味料として売り出すことで生産者・消費者がWin-Winになる仕組みを構築しています。
当社は今後も、白醤油の粉末化で培った独自技術と「他社とは異なるもの作るDNA」をベースに、商品開発に積極的に取り組み、時代のニーズに合った付加価値の高い製品を提供し続けていきたいと考えています。
新素材のプロトタイプをお客様に見ていただく際は、お客様の商品に落とし込んだ状態で持ち込みます。お客様がラーメンメーカーであればラーメンのスープに仕立て、チョコレートメーカーであればチョコレートに練り込むといった具合です。そうすることで、より具体的な利用イメージを持っていただくことができ、お客様の意見から新たな気づきを得ることができます。お客様と一緒に製品・アプリケーション開発を進めるわけです。
また、当社の事業は「資源の有効活用」という側面も持ち合わせています。鰹節や昆布等の海産物は、ちょっとでもキズがつくと売り物にならず、廃棄処分されてしまいます。当社はこうした未利用資源を粉末化し、天然調味料として売り出すことで生産者・消費者がWin-Winになる仕組みを構築しています。
当社は今後も、白醤油の粉末化で培った独自技術と「他社とは異なるもの作るDNA」をベースに、商品開発に積極的に取り組み、時代のニーズに合った付加価値の高い製品を提供し続けていきたいと考えています。