インラインラマン分光法を用いた攪拌速度が定量モデルに 与える影響の評価

ラマン分光計を用いてスラリー液をモデルとして，攪拌速度が検量線精度に与える影響を分析し評価をおこなった．

プロセスの逸脱を特定することや製品の品質の維持を保証するため，さらに所望する物質を確実に得るためにはプロセスの最適化が求められる．温度、攪拌速度、溶媒の種類などのプロセスの条件によって物質の粒子の形態，結晶形などの目的物の物性や結晶転移の速度が異なることが知られている．リアルタイム測定により分析時間の短縮とオペレーターへのフィードバックの高速化が可能となる．また，プロセスからサンプリングする要件を回避し、生産作業員や分析測定者などが危険な試薬にさらされる可能性を回避し、測定者への暴露汚染を最小限に抑えることも可能である．ラマン分光法により目的物の結晶形や濃度をリアルタイムでの測定が可能なことが知られている．そこで，本稿では反応系内への挿入可能なラマンプローブを搭載したラマン分光計を用いて，濃度の異なるスラリー液をモデルとして，プロセスのパラメーターの１つである攪拌速度に着目し，異なる攪拌速度で各濃度のモデルのラマンスペクトルから検量線を構築し，攪拌速度が検量線精度に与える影響を分析し評価をおこなった．