株式会社東北テクノアーチ 東北大学技術:ADC用細胞内環境応答型リンカー:T19-577

がん細胞において選択的に切断されペイロードがリリースされるリンカー等、異なる特性の多機能性リンカーの構築へ

抗体薬物複合体(ADC)は、抗体と低分子薬剤とをリンカーで繋ぐもので、抗体の高い選択性により標的細胞までペイロード(低分子薬剤/核酸医薬など)を送達するのが狙いである。しかし既知のリンカーは、標的細胞に届く前に低分子薬剤が切断・放出されたり、逆に意図した通りに切断されず薬効が発現しないなど、数多くの課題が残されている。
本発明では、細胞内グルタチオン(GSH)濃度依存的に切断されるリンカーに関するものである。がん細胞は正常細胞と比較して、20倍以上のGSH濃度差がある [1] 。発明者は、S-S結合の電子密度を調節した結果、GSH濃度差によりS-S結合開裂特性を有するArSSrAモデル化合物を合成した。右の図表に示すように、正常細胞ではほぼ切断されないのに対して、がん細胞では100分後に80%以上が、1日経って全てが切断されてリリースされたことが確認された。
さらに、がん細胞に選択的な薬物放出を観察できた(右上図)。

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