株式会社東北テクノアーチ 東北大学技術:アクロレイン生成能の評価方法:T20-3047

油脂の酸化原因及び酸化度合いを評価し、抗酸化対策への応用へ

 毒性の強いアルデヒドの一種であるアクロレインは、食用油脂中の多価不飽和脂肪酸の酸化によって生成し、「油酔い」の原因の一つになると言われている。不飽和脂肪酸の酸化により生じる脂肪酸ヒドロキシペルオキシド異性体の構造は、酸化機構(ラジカル酸化、一重項酸素酸化)によって異なることが知られており[1]、こうした異性体構造の違い、すなわち酸化機構の違いがアクロレインの生成に関与すると考えられる。これまでアクロレインの発生源の一つとして、リノレン酸の熱(ラジカル)酸化の寄与が知られていたが、光(一重項酸素)酸化の寄与については、ほとんど検討されてこなかった。また、リノレン酸以外の脂肪酸(リノール酸など)の一重項酸素酸化の寄与も不明のままであった。不飽和脂肪酸の酸化・分解経路を特定できれば、食用油脂中のどの不飽和脂肪酸の酸化劣化によるアクロレイン生成なのかを特定することができ、食用油脂の品質管理や安定性向上のための技術開発に資すると期待される。
 本発明は、油脂に含まれる不飽和脂肪酸の酸化・分解経路の解明に基づく[2]、アクロレインの生成能及び油脂の劣化を評価する方法に関する。

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